特 許
Q;特許権を取得するために、特許庁へ出願後にどのような手続がなされるのですか?
A;特許権を取得するためには、必要な要件を満たしているかの審査を受けなければなりません。
先ず、方式的な要件(書類の書式)を満たしているか否かが審査され、その後に、出願審査請求書の提出により実体審査を受けることになります。
実体審査は、発明の内容にかかわるものについて行われ、次のような事項が重点的に審査されます。
1.自然法則を利用した技術思想であるか。
2.産業上利用できるものであるか。
3.出願前にその技術思想がなかったかどうか(新規性)。
4.当業者(その技術分野を理解している人)が容易に発明できたものではないか(進歩性)。
5.既に他者が同様の発明を出願していないか(先後願)。
6.公序良俗に反していないか。 など。
審査をパスしますと、特許権を取得することができます。
実用新案
Q;技術的な案件は、実用新案登録の対象にもなるかと思いますが、特許(発明)と
実用新案登録(考案)とでは簡単にどのような差異があるのですか?
A;特許の対象となります発明も、実用新案登録の対象となります考案も、
共に、自然法則を利用した技術的思想の創作である点では共通しますが、
発明は、考案よりも、技術水準が高いことが要求されます。
換言しますと、実用新案登録の対象となります考案は、特許の対象となります発明とは異なり、それほど技術水準の高いものである必要がありません。
又、発明の場合、方法に関するものも対象となりますが、実用新案登録の対象となります考案は物品の形状、構造又はその組合わせにかかわるものに限られますので、方法に関するものは対象外となります。
実用新案登録では、特許とは異なり、新規性、進歩性等、内容に関する実体審査は行われず、書類への必要記載事項に不備がないか、考案の内容が著しく不明確ではないか、上記の通り物品の形状・構造にかかるものであるか 等の基礎的要件のみの審査で、登録となり、実用新案権を取得することができます。
特許の場合と異なり、実体審査を受ける為の出願審査請求書の提出は必要ありません。
このため、実際に権利を行使するためには、登録後に技術評価書を請求する必要があります。この技術評価書は、請求されてから審査官が先行技術文献等の調査を行い、進歩性や新規性などを評価して作成するもので、登録実用新案の権利の有効性についての客観的な判断材料となります。
実用新案登録は、実用的に有意義ではあるが特許ほど高度な技術的思想の創作ではないもの、早期権利化を希望されるもの(実体審査がないので早期に権利化できる。)、低コストでの権利化を希望(高価な出願審査請求書の提出が必要なし。)されるものに有効です。
意 匠
Q;意匠権を取得するために、特許庁へ出願後にどのような手続がなされるのですか?
A;意匠権を取得するためには、必要な要件を満たしているかの審査を受けなければなりません。
先ず、方式的な要件(書類の書式)を満たしているか否かが審査され、その後に、実体審査を受けることになります。
特許の場合のような出願審査請求書の提出は必要ありません。
実体審査は、意匠の内容にかかわるものについて行われ、次のような事項が重点的に審査されます。
1.意匠であるか否か。意匠は、物品の形状、模様もしくは色彩またはこれらの結合であって、美感を起こさせるものであること。
2.工業上利用できること。
3.これまでにない新規なものであること(新規性)。
4.容易に創作できたものでないこと(創作容易性)。
審査をパスしますと、意匠権を取得することができます。
Q;意匠は、物品の全体の外観だけではなく、物品の部分の外観(形状・模様・色彩等)についても成立しますか?
A;物品の部分の外観(形状・模様・色彩等)デザインについても成立します。
Q;物品の形状について工夫を施したような場合、意匠権を取得する他に、特許権や実用新案権も取得できますか?
A;意匠権を取得する他に、特許権や実用新案権も取得できます。勿論、意匠権や特許権を取得するための審査にパスすることが必要です。実用新案は、無審査ですので、早期に権利化し、実用新案権で出願日から10年間の存続期間で保護し、その後に、意匠権で登録日から20年間の存続期間で保護するようにすると有効です。
商 標
Q;商標権を取得するために、特許庁へ出願後にどのような手続がなされるのですか?
A;商標権を取得するためには、必要な要件を満たしているかの審査を受けなければなりません。
先ず、方式的な要件(書類の書式)を満たしているか否かが審査され、その後に、実体審査を受けることになります。
特許の場合のような出願審査請求書の提出は必要ありません。
実体審査は、商標の内容にかかわるものについて行われ、次のような事項が重点的に審査されます。
1.自己の商品・役務と他人の商品・役務とを区別することが出来ること。
(既に他社により同一/類似の商品について登録されている商標がないかどうか 等)
2.公益上の理由や私益保護の見地からも登録が認められること。 など。
商標とは、商品又は役務(サービス)の取引きにおいて、製造業者・販売業者・役務業者が自分の商品・役務と他人の同種の商品・役務とを識別するために、自己の提供する商品・役務について使用する標識(商号名・商品名・マーク等)をいいます。
そこで、商標を登録するには、その商標と、権利を求める商品及び役務の範囲を指定して特許庁へ出願し、上記のように、必要な要件を満たしているかの審査を受けなければなりません。
審査をパスしますと、商標権を取得することができます。
Q;既に他社により同一の商品について商標が登録されていますが、類似の商品に付きましては、商標権を取得することができますか?
A;類似の商品に付きましては、商標権を取得することができません。
Q;既に他社により商標が登録されていますが、類似商標であれば商標権を取得することができますか?
A;いいえ、登録商標に対し類似商標とされれば、商標権を取得することができません。
Q;商標の類似判断は、どのような基準で行われるのですか?
A;一般的には、商標の類似判断基準は、原則として、
1・外観 2・観念 3・称呼
の3つであり、これら3つのうち一つでも該当すれば類似と判断されてしまいます。
Q;上記によれば、商標を登録するには、権利を求める商品及び役務の範囲を指定することが必要となっていますが、商標法施行規則第3条の別表(省令別表)に掲載されていない商品及び役務の範囲を指定することは可能ですか?
A;可能であり、例えば、新規の商品や役務の場合に起こり得ます。