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知的財産権の相続QandA

知的財産権の相続Q&A

知的財産権の相続Q&A

Q;死んだ父親が工場の経営者で、特許権を所有していた場合、その特許権を相続できますか?
A;特許権を相続できます。具体的には、相続による移転登録申請書を特許庁に提出します。相続しようとしています特許の番号が必要です。念のために、特許維持年金を期限までに特許庁に納付していて、特許権が存続しているか否かを調べておく必要があります。特許権を維持するためには、特許維持年金を特許庁に納付しなければならず、期限までに納付していなければ特許権は消滅しているからです。複数特許権を所有している場合もその特定が必要です。
被承継人(死んだお父さん)の表示が必要ですので、その表示を特許庁の特許原簿等で調べて、正確なその記載が必要です。住所などその表示に変更があれば、登録名義人の表示変更登録申請書の提出も必要となります。当該移転登録の相続の発生した年月日の記載が必要で、通常は、相続の開始日である被承継人(お父さん)の死亡の日を記載します。承継人であることを証明する書面の添付が必要となります。戸籍謄本などの添付が必要です。又、場合によっては、遺産分割協議書などの提出が必要となり、当該遺産分割の協議をして、自分が承継人であることに相違ないことを証明し、申請人(承継人)として手続きします。手続きの期限は具体的には定められていませんが、法では「遅滞なく」とされていますので、なるべく、早く手続したほうがよいかも知れませんし、特許維持年金の納付との関係等からも、なるべく、早く手続したほうがよいかと思われます。

Q;実用新案権も相続できますか?
A;実用新案権も相続できます。特許権と同じ様な手続が必要です。特許権、実用新案権等の工業所有権には、それぞれについて一定の存続期間が設けられており、その期間を過ぎますと工業所有権は消滅してしまいます。
特許権の場合は出願の日から20年、実用新案権の場合は出願の日から10年です。年金納付の有無と共に、期間の点で、工業所有権が消滅していないかどうかを確認しておく必要があります。
意匠権も同様の手続きが必要です。記載事項や添付書類等はほとんど同じです。
「本意匠」に類似する意匠(「関連意匠」)の意匠権については、本意匠権と合体しますので、当該移転登録申請をする必要はありません。
関連意匠の意匠権は、本意匠の意匠権と分離して移転することはできません(意匠法第22条第1項)。また、関連意匠の意匠権どうしも分離して移転することはできません(意匠法第22条第2項)。
商標権も同様の手続きが必要です。記載事項や添付書類等はほとんど同じです。
商標権の相続による移転登録申請書には、相続しようとしています商標登録の番号が必要です。
商標登録の番号の記載だけでよく、商品や役務の区分、指定商品や指定役務の記載は特に必要ありません。
商標権の存続期間は、登録日から10年です。商標権は、10年ごとの更新が必要です。更新しないと権利がなくなります。商標権の登録日などを調べておく必要があります。


Q;著作権も相続できますか?
A;著作権も相続できます。
しかし、著作物については、それらを創作した時点で、著作権が自動的に発生しています。
従いまして、著作物の著作権を取得するための手続きは、基本的には必要ありませんので、、著作権を相続する場合も、著作権の移転手続き(被相続人から相続人へ権利を移転させる手続き)をする必要はありません。
相続人同士で話し合いをして、誰が著作権を相続するのかを決めさえすれば良いだけになりますが、どうしても、口約束だけでは、後になってトラブルが起こることも考えられますので、遺産分割協議書を作成しておく方が良いでしょう。
もしも、著作権を複数の相続人が分割するという場合は、著作権の移転手続きが必要になります。
この手続きは、文化庁に申請します。
尚、著作権の存続期間は、著作物が創作された日から著作者の死後50年となっています。

Q;父親が工場の経営者で、特許出願後に死んだ場合、その特許を受ける権利を相続できますか?
A;特許を受ける権利を相続できます。具体的には、特許出願人名義変更届を特許庁に提出します。
承継人であることを証明する書面の添付が必要となります。戸籍謄本などの添付が必要です。又、場合によっては、遺産分割協議書などの提出が必要となり、当該遺産分割の協議をして、自分が承継人であることに相違ないことを証明し、承継人として手続きします。
特許権の発生後は、上記の相続による移転登録申請書の提出によりますので(代理人に手続をしますと、当該移転登録申請の方が費用的に高くなります。)、登録される前に手続した方がよいかと思われます。特許出願が特許庁に継続していることが必要です。
実用新案権、意匠権、商標権も同様の出願人名義変更届の手続きが必要です。