ドメインネーム紛争解決Q&A
Q: ドメインネーム紛争解決とは?
A:従来、ドメイン名はインターネット上の住所と定義されていましたが、電子商取引の活発化に伴い、ドメイン名はそれ自体商標的機能を果たすようになってきて、ドメイン名が他人の商標と混同を起こす等で、紛争を起こすようになってきました。当該ドメイン名の紛争に対して的確に処理できる法律に乏しく、国際的には、こうした状況を憂慮して、インターネット世界でドメインネームとIPアドレスの割当てを管理するICANN(Internet Corporation for assigned Names and Numbers)は、インターネxト世界におけるドメイン名紛争解決のための新たな法律とも言うべき統一ドメインネーム紛争処理ポリシーを1999年12月1日に始動させ、我が国のドメイン名を管理するJPNIC(社団法人日本ネットワークインフォーメーションセンター)も、このポリシーを導入し、このポリシーに沿った紛争解決を工業所有権仲裁センター(日本弁理士会と日本弁護士連合会との共同運営事業)が行うことになった。
Q:どのような紛争解決を図るのですか?
A:工業所有権仲裁センターが裁定という形で、紛争解決を図ります。
Q:当該裁定の内容は?
A:取消、移転及び申立の棄却の3つです。
Q:裁定の取消、移転は、どのような場合に行われるのですか?
A:取消、移転の対象となるドメイン名が申立人の商標その他の表示と同一又は混同を引き起こす程に類似していること、登録者がそのドメイン名の登録についての権利又は正当な利益を有していないこと、ドメイン名が不正の目的で登録又は使用されていること(ドメイン名を法外な価格で売りつける為に登録している場合等)が必要です。
Q:手続の流れは?
A:申立書の提出→受領した当該ドメイン名についてJPNICに照合→申立書の方式審査→料金の支払→申立書のドメイン名登録者への送付→手続開始日などを両当事者に通知→ドメイン名登録者からの答弁書の提出(提出期間20日間、答弁がなくても裁定が下されます。)→当該答弁書を申立人に送付→パネルの指名(パネリストの指名、指名されたパネリストが裁定を下す。パネリストは複数選べる。)→パネルによる審査・センターに裁定を通知→裁定の通知・公表→裁定結果の実行
Q:何日ぐらいで裁定が行われるのか?
A:ケースバイケースで一概にいえないが、通常55日位。
Q:裁定は拘束力を持つのですか?
A:この裁定は最終的な拘束力を持ちません。従って、裁定に不服があれば裁判所への提訴が求められています。
Q:裁定に拘束力を持たないとすると、当該裁定を行う意義があるのですか?
A:申立が開始されますと、対象となったドメイン名やその登録者が公表されますので、登録者には、サイバースクワッタ(cybersquatter、 cybersquatting〔有名な企業・商品・人物の名前を含むドメイン名をいち早く登録し、あとで転売して利益を得ること。あるいは、そのような知名度・信用度を利用して不当な利益を得ること〕)の烙印を押される可能性があります。
Q:パネリストの指名に費用が掛かるのですか?
A:パネリスト1名につき、18万円となっています。